Windows 10よりもWindows 7の方が使いやすい? (第14話)
世の中では未だWindows 7の方がWindows 10よりも使いやすいという人がいますが、本当にそうでしょうか?実は、Windows 7がなぜ「愛された」のか、なぜ高い評価なのかを冷静客観的に検証するとWindows 7そのものの実力だけではなく、別の要因も多々存在したことがわかります。
「Windows 7は使いやすくて必要十分」また「もはや新しいOSを無理に導入する必要はない」という考え方には、
立派な裏付けが存在したのです(次回以降の連載で詳しく語っていきます)。
そしてWindows 7が愛された理由を知れば、「Windows 7が最も使いやすい神話」は もう過去のものであり、現在は「Windows 10をチョイスすべき」であることを納得したうえで導入を進めることができます。
Windows 7における利点やWindows 8の問題がWindows 10にどのように継承されてるのかなど、Windows 10ならではの機能や特徴を予め理解しておけば、スムーズにWindows 10 PCに環境移行して活用することができるのです。
本節ではまず「Windows 7が愛された理由」を連載で語り、次節では「Windows 10の利点(及びWindows 7からみた違い)」を語ることとします (つづく: Win10.jp) 。
Windows 7は先代Windows Vistaで引き立った (第15話)
Windows 7が愛された理由の一つに「Windows Vista」の存在があります。Windows OSはコンシューマーリリースとしては
「Windows XP→Windows Vista→Windows 7」
とリリースされてきましたが、Windows Vistaは開発に手こずった関係上、本来Microsoftの計画では3年毎に
新しいWindows OSのリリースする予定でしたが(現在ではこの考えは異なります)、Windows XPからWindows Vistaのリリースまでには実に5年以上を要しました。
一般ユーザーにとってはWindows XPの利用期間が長く(←ここ、Windows 7への愛にもかぶります)、この点で「Windows XPのほうが使い慣れている」ということと、
Windows Vistaは動作が重くUI(ユーザーインターフェース)が遠回りだったために「どうしてWindows Vistaにしなければならないのか?」と疑問視されるようになり、結果古いWindows XPにダウングレードするという珍現象まで起きました。
もちろん、老朽化して設計が古く新しい時代のテクノロジーに対応できないWindows XPには限界があり(内部的には確実にLonghornコアの方が優れる、 連載で随時 )、Windows VistaよりもUIが洗練されかつ高機能な「Windows 7」は待ち望まれ、実際にリリースされると爆発的な人気になったのです。
つまり、「Windows Vistaが使いにくい(内部設計は良いものの)」と対をなすような形で、「Windows 7が最も使いやすい(UIの改善)」につながったのです。
Windows Vistaが比較的評価が低かったこと・・・「Windows 7が愛された理由」の一つにはこのようなファクターもあるのです (つづく: Win10.jp) 。
でもWindows 10があるのはWindows Vistaがあったからこそ (第16話)
「Windows 7が愛された理由」に Windows Vistaの不人気を語りましたが(前回) 、人気はともかくWindows VistaはWindows OSの歴史を俯瞰で見ても存在意義のあるOSでした。Windows XPは「各国語版が各国で発売される」つまりは「各国でXPを作り直した」という今では考えられない仕様のOSだったのに対して(つまりOSのコア部分が各国で異なっていたため、別国作成アプリの互換性は完璧ではなかった)、Windows Vistaでは「シングルバイナリ」になり、言語パックで各国の言語に対応できるようになりました(つまり、英語版を購入しても日本語化にできる、現在のiOSやAndroid OS同様)。
また、Windows XPにも64ビット版は後付的に存在こそしましたが
「64ビットWindows OS」が本格的にコンシューマーリリースされ、普及の足がかりになったOSがWindows Vistaでもあります(現在PCを購入した場合、バンドルされるWindows 10はほぼ「64ビット版」、32ビット版と64ビット版の違いはいずれこの連載で解説します)。
過去には「Windows Vistaは重い」は「古いCPUでは遅い」という事実も確かにありましたが、Longhornコアにおける「新しいCPUやデバイスが活かせる」設計により、実は当時でも新しいハードウェアを用意すればWindows XPよりも遥かに快適に動作できるOSだったのです。
ちなみに、Windows VistaのコードネームはLonghorn(ロングホーン)であり、いわゆるOSのコア部分を「Longhornコア」と呼称しますが、実はWindows 7もWindows 10もLonghornコアの系譜にあり、現在のWindows OSの基礎となったのがWindows Vistaなのです (つづく: Win10.jp) 。